2017年11月10日

筆界特定制度

皆さんは筆界特定制度という言葉を聞いたことがありますか?
隣地との筆界が不明な場合等に、法務局の筆界特定登記官が筆界を特定する制度です。
そもそも「筆界」とは何でしょうか。
法務省のHPの中に筆界特定制度に関するQ&Aがあり、「筆界」の定義が記されています。

Q1  「筆界」って何ですか。
A1 「筆界」とは,土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり,所有者同士の合意などによって変更することはできません。
 これに対し,一般的にいう「境界」は,筆界と同じ意味で用いられるほか,所有権の範囲を画する線という意味で用いられることがあり,その場合には,筆界とは異なる概念となります。
 筆界は所有権の範囲と一致することが多いですが,一致しないこともあります。
(法務省HPより、http://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html

所有権の境界を所有権界と言い、占有している境界を占有界と言います。
それに対して、「筆界」は公法上の境界を言います。
本来であれば、所有権界と筆界は一致するはずですが、一致しないケースも見受けられます。
なかなかややこしい話になってきました。
つまり境界には何種類かあって、本来であれば同じものだけれども、大別すると筆界と所有権界に分かれる場合があるということになります。言い換えれば、境界は公法上の境界と私法上の境界に分かれる場合があると言うことです。
その場合は、専門家でもその見極めが大変難しいケースとなります。
ところで、公法上の境界である筆界特定がされると登記記録にその記載がされることになります。
法務局が定めたのだから、筆界は変わらないものだということになるわけですが、そうではないところが、更に話を複雑にしていきます。
不服がある場合は、筆界確定訴訟を裁判所に提起することが出来ます。
判決で示された筆界は、法的に唯一の筆界としての効力を有することになります。
そうであれば、筆界特定は意味がないのではないかと思われますが、そうではありません。
筆界特定は公的機関が一定の法的手続きを経て判断を示しますので、その内容には証明力があり、原則として正しいものとしての推定力が働くことになります。
したがって、それを否定するのであれば、有力な反対証拠を示して、真実の筆界を立証する必要があります。
昨年、筆界特定制度は施行から10年を迎えました。
境界紛争になった場合は、裁判所に調停を申立てるかあるいは境界(筆界)確定訴訟か所有権確認訴訟(所有権の範囲の確認訴訟)を提起する方法がありましたが、境界紛争の解決のメニューが一つ増えた訳です。
また、最近ではADR(裁判外紛争解決手段)による民事調停があります。
境界紛争の内容によって、それぞれの使い分けや組み合わせによって解決を図るメニューが更に一つ増えました。
境界紛争と言っても、公法上の争いなのか私法上の争いなのかによって、全く主張や方法が変わってきます。
いずれにせよ同じ土地はないものですから、個別に考えるしかありません。
境界についての法律相談は弁護士に、筆界については土地家屋調査士に相談することをお勧めします。(調)


posted by NBP at 09:30| 日記