2012年04月30日

消費課税についての私見

1.課税段階の選択  
 消費税はフランスの三大発明の一つといわれていますが、20世紀の後半に導入されたばかりの新しい課税制度です。野田政権の「税と社会保障の一体改革」でも主論点であり、消費税率を上げるか上げるべきでないかと言った大きな世論の議論があります。もちろん、誰しも税金の負担は少ない方がいいでしょう。しかし、一定の財政支出を賄う収入をカバーするためには一定の税収入が必要でしょう。資産として永久に蓄えられる部分を除いて、稼得された所得は長期的にはいつか消費されるとの考えに立てば、所得を稼得した段階で課税するのか、あるいは消費した段階で課税するのかの国民の選択であるといえます。
 英国サッチャー元首相は「われわれが汗水たらして働いた結果得られる所得に課税することは、勤労を罰することだ。それよりも、個人が選択的に消費をする、そこに課税をする方がずっと公平ではないか」と言っています。また、「個人が社会に貢献したときに得られる労働の対価としての所得に課税するよりも、彼らが社会より取り出し消費する時に課税するほうが公平である。」とも言われています。

2.課税方法の変化
 課税方法は、社会や経済環境により変化します。古くは人頭税といった簡便な課税方法であったものが、租庸調、賦役、地租、年貢等といった課税方法を経て、現在の所得を基準とする課税方法になってきました。しかし、所得課税の前提になっているのは複式簿記による所得の正確な計算です。クロヨン・トーゴーサンという言葉や白色申告に対する推計課税があるように、すべての所得が正確に把握されているとは言い難い現状にあるように思えます。逆進性の問題はありますが、勤労意欲および公平性の観点からも、消費した段階で課税する消費課税へのシフトも検討すべきであると考えます。
 マクロ経済的に、長期的には「国民所得は国民消費に等しい」のですが、短期的には稼得された所得はすべて消費しないで貯蓄等の資産となる問題があります。個人の生涯所得は生涯消費および遺産と等しいわけです。したがって、その短期的な消費課税の減少を填補するためにも資産課税が必要になるとも言われます。しかし、貯蓄された資産はやがてその資産が消費された時に更に消費課税されるわけですから、その二重課税の回避措置も必要でしょう。

3.課税負担の世代分担
 そもそも所得というものは、先ほど述べたように概ね複式簿記による会計の利益を調整したものです。会計制度が整備運用されていない場合、その所得課税根拠は曖昧であり、現に売上に基づいて課税される発展途上国もあります。現代の日本はあまりに会計の利益という概念に引きずられているように思いますが、それに加え、交際費の一部が損金として認められない等の特例が多く所得課税は非常に複雑なものになってきています。
 一方、消費課税はよりシンプルであり、取引相手による牽制もある点で実効性や公平性も高いと考えます。もちろん取引牽制を担保するためのインボイス方式への変更や益税の問題等の改善は必要です。しかし、何よりも減少していく将来の世代の所得負担に頼るのでなく、多額の貯蓄資産を持っている現在世代の消費による負担を中心にして、日本の財政状況を改善していくのが自然であり実現可能性があると考えます。
posted by NBP at 17:29| 日記